「家賀」忌部集落の再生プロジェクト

 家賀集落とは、徳島県西部、剣山系北斜面側の一角、美馬郡つるぎ町貞光で国内最大規模の急傾斜地集落です。現在、過疎化が急速に進み、耕作放棄地も増え、集落の存続が危ぶまれています。そこで研究所の会員で家賀集落出身の枋谷京子さんが、この貴重な歴史ある集落を再生しようと動き始めました。その手始めの主体となるのがかつて当地でも煙草と並び栽培されていた「藍」の復活です。その「藍」の畑は、古城家の協力を得て2反ほど貸していただき、藍染工房ルアフ(徳島市中吉野町)の林広さんが主体となり栽培・収穫をします。

[家賀の概要]
 家賀[家賀山]は、「ソラ」と呼ばれる徳島剣山系の代表格となる大規模傾斜地集落である。この家賀は、貞光川の支流、見恵頭谷奥の南岸山間部、北面に開けた標高約150~550m、標高差約400mの傾斜面に展開する集落で、周囲を森林に囲まれ、山上部に涵養林を残し、下部に天上の山里世界が広がっている。昔より100軒余りの民家、カヤ場、畑地が交互に織りなし独特なソラ景観を創り出している。谷筋はかつての棚田、かつては煙草の産地で、現在でもカヤを施用する伝統農業が守られている。標高約450m付近の家賀道上に忌部族ゆかりの「児宮神社」、忌部神社別当「西福寺」、峯堂「無念堂」、最上部に家賀上堂(四つ足堂)。家賀道下には「観音堂」が祀られる。家賀道上の茅葺屋根を残すのは古城宅。「忌部神社」(美馬郡)の大祭主であった麻植因幡守持光の居城であった家賀城跡も知られている。